薬に頼らない認知行動療法

不眠に対する認知行動療法（以下CBT-I）は

「睡眠衛生教育」：睡眠に関する正しい知識を提供し、誤った知識や習慣を修正することで睡眠の質を改善する。

「行動療法」：睡眠に対する習慣を整えていく（例えば寝室でいつも勉強しているとなると、そこはなる場所でなく、活動する場所になっているので訂正していく必要がある。）

「認知療法」：先に説明したようにネガティブな考えや、歪んでしまった思考を改め、身体の覚醒ではなく、精神的な覚醒を改善していく

というような３種類に分類されます。

全ての要素において、カウンセリングがありきで治療が進んでまいります。

実際にカウンセリング及び治療の際におこなうことを大まかに説明して参ります。

「睡眠衛生教育」

ご自身の睡眠環境や、睡眠時刻（就寝時間）、日中の過ごし方、食事など、日常生活でおこなっていることを把握します。

睡眠日誌をつけたり、メモをとったり、睡眠に関する評価アンケートを用います。

自分自身で調べた、あるいは誰かに教えてもらった知識が、良い睡眠を妨げてるケースがあります。

睡眠の阻害因子を見つけ取り除くこと、それに良い習慣を加えることで睡眠の質を向上していきます。

また、アンケートを軸に、患者様がお持ちの睡眠に対する知識やイメージが、本来の良い睡眠の要素とどれだけ合っているか、どれだけ離れているかをチェックし、認識していくことで良い睡眠を手に入れられるようにしてまいります。

「行動療法」

睡眠衛生教育の時点で把握した、起きている時間や寝ている時間、寝るまでの時間などを元に、良い睡眠には適していない行動を消去して、新たに良い時間、良い行動を提案します。

また、その際に、違う習慣を取り入れようとすると、うまくいかないことが多いため、鍼治療やカイロプラクティックを組み込んだり、ご自身でできるリラクゼーション方法や寝室の環境設定もご提案いたします。

「認知療法」

不眠に対してもっているネガティブな思考や、不眠を発生させてしまった原因をカウンセリングを通して把握させていただきながら、気持ちの面での不眠サポートもしてまいります。

特に自動思考と呼ばれる部分に対してフォーカスしてカウンセリングを行います。

思考には、意識の中での思考と、無意識の中での思考があります。

例えば、LINEのメッセージに既読がついたまま無視されてしまう、あるいはメールが無視されてかえってこないという状況になった時に、「嫌われてしまった…」という思考になった方は、無意識の思考の中に「私は人から好かれない」という自動思考が存在しているかもしれません。

睡眠についても同じで、眠れないという状況になった時に、

「眠れない」という思考の奥底には「自分は何をしてもうまくいかない」というような思いがあるかもしれません。

そういった無意識の中の思考に目を向けて、不安や不満を解決していくといった方法をおこないます。

このように当院では、不眠のための認知行動療法のエッセンスも混ぜて施術をおこないます。

その治療の過程に鍼治療やカイロプラクティックを組み込むことで、より効果的に不眠症を解決できるようお手伝いいたします。

『塚野弘明』　”慢性不眠の認知行動療法”　参照